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小野国際特許事務所メールニュース
2006年6月号
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特許出願のデータねつ造
最近、鉄切削工具の発明に関し、神戸大学の先生が明細書中に実験をしていない架空
の数字を記入して、特許出願したことが発覚し、「データのねつ造」として問題となり
ました。
この件は、大学が特許出願を取り下げることで一応決着するようですが、特許出願す
る場合の実施例の記載について、考えさせられる事件です。
化学や、バイオ分野の発明では、実際に実験した結果を明細書中の実施例として記載
し、発明が本当に完成していることを示すことが必要です。そして、幅の広い、強い特
許を得るためには、1つでなく数多くの実施例を開示することが必要です。
しかしながら、日本の特許法は先願主義(同一発明は、先に出願したものが権利を得
る)を取っているので、1日でも早く特許出願する必要があり、十分に実験を行わな
ず、
数少ない実験結果で特許出願するのが実情です。
ところで、明細書は、実際に試験を行った実施例(ワーキング・イグザンプル)しか
記載してはならないというわけではありません。例えば、発明の作用機構が明かであれ
ば、実際に試験を行ったもの以外に同様な作用を持つものを思いつくことができます
し、
このものが発明の効果を有すると予想する事も容易です。このような予想に基づいた実
施例(ペーパー・イグザンプル)も、これが予想であることが明確にされていれば、明
細書中に記載されても問題とはなりません。従って、十分な根拠があれば、実際の実施
例に加えて、ペーパー・イグザンプルを加え、発明を広くすることは好ましいことで
す。
今回の、「データのねつ造」の件では、実験をしていないのに、架空の数字を記載し
たことが問題であり、予想に基づいた実施例の記載(例えば、「○○の組成でも、実施
例1とほぼ同様な効果が得られるであろう。」など)が問題となったのではないと考え
られております。
従って、出願に当たって、発明の作用機構がわかるのであれば、従来通り予測による
実施例(但し、過去形で書いたり、具体的数値を記載しない)も加えておくべきです。
このトピックに関してご質問等がございましたら、弊所までお問い合わせ下さい。
弁理士 小野 信夫
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6月の行事:6月9日(金)13:00〜17:00 無料相談会
場所:発明協会沖縄県支部
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6月の滞在予定 6月 5日(月)〜 9日(金) 弁理士 井手 浩
6月21日(水)〜24日(土) 弁理士 小野 信夫
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