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2006年08月号(地域ブランドの保護(3))
2006/09/14

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小野国際特許事務所メールニュース
 
2006年8月号

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 地域ブランドの保護(3)

 特許庁より、地域団体商標の出願について、適正に審査を進めるべく地域団体商標推
進室を設置すること、および、6月29日までの地域団体商標の出願状況についての発
表がありました。※
 この発表で注目したいのは、485件という出願件数ではなく、その発表に付記的に
記載された、「*地域団体商標には先願の優位性はなく、『その商標が使用された結果
、隣接する都道府県において広く知られている』ことが登録の要件であるため、先を争
って出願しなければならないものではない。」という箇所です。
 簡潔に表現されているため説明を要しますが、まず、先願主義が大原則の商標制度に
もかかわらず、「地域団体商標には先願の優位性はなく」、周知性が(より重要な)要
件であると述べています。これは、周知性についての正確な認識がなされていないまま
出願されるケースがあることに触れているのではないかと思われます。念のためここで
の「周知性」とは、商標が使用された結果、一定の地域内で広く知られていることを意
味します。出願商標の中には、単に、地域名と特産品の名称を組み合わせたものに過ぎ
ないものもあり、確かに、その商品はその地域の特産品として有名かもしれませんが、
今まで「地域名+特産品の名称」を商標として使用していなければ、商標としての周知
性が認められるものではありません。どうもそのあたりを誤解して、安易に地域名と特
産品の名称を組み合わせたものに過ぎない商標が見受けられるようです。
 また、「先を争って出願しなければならないものではない。」という箇所からは、現
在、複数の団体が競合して同一の商標を出願しているケースがあり、なるべくそのよう
な事態にならぬよう、出願前に時間をかけて当事者同士の話し合いをしてから出願して
ほしい、という意図が見えます。
 このように複数の団体が同一の商標を「先を争って」出願している背景としては、特
定の団体が登録した場合、その団体の構成員以外は一律、その商標の使用ができなくな
るという懸念が根本にあるようです。しかしながら、今までその商標を使用していた者
には先使用権という既得権が認められますし、単なる産地表示としての使用は登録商標
の使用とは認められず、商標権の効力は及びません(商標法第26条)。何らかの理由
で団体の構成員になれない人には使用権を設定することもできます。従って、「商標登
録されると使用できなくなるのではないか?」という心配は理解できますが、地域団体
商標の場合、使用が担保されるケースが通常の商標権に比べかなり多いということがで
きます。
 個人的には、商標権者たる団体に入っていない当該地域内の第三者に対し、その団体
が地域団体商標に基づき権利行使できるかということに関して疑問に思っています。す
なわち、使用者が先使用権を有さない場合も、上記の産地表示としての使用とみなされ
商標権の効力が及ばない場合が多いでしょうし、仮に、その団体が商標権を盾に、非構
成員に対して当該団体への加入を強制するなどの背景があった場合は、その権利行使も
権利の濫用とみなされる可能性すらあるのではないかと思います。このように地域内で
の権利行使を制限したとしても、地域外の第三者の使用には権利行使は可能ですから、
実質的に制度趣旨を損なうことはないと思うのですが、いかがでしょうか?
弁理士 鶴目朋之
※「地域団体商標推進室の新設について」2006.6.30

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  8月の行事:8月11日(金)13:00〜17:00 無料相談会 
       場所:発明協会沖縄県支部
   
    特許を考える会:8月10日(木)、11日(金)、14日(月)3日間
         時間:各日18時〜19時半
場所:小野国際特許事務所沖縄オフィス
         
    ※お知らせ:8月8日(火)は旧盆の為お休みです。

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 8月の滞在予定 8月10日(木)〜15日(火) 弁理士 小野 信夫  


※弁理士が沖縄オフィスにいない場合でも、テレビ電話にて東京オフィスの
弁理士と相談することが可能です。

 相談したい日にちと時間、会社名、担当者名、連絡先を記入の上、下記の
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 なお、メールにてご連絡を頂いた場合には、メールチェックの都合上、
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