TOP > メールマガジン

メールマガジン

2005年09月号(地域ブランドの保護)
2006/09/14

**********************************

          小野国際特許事務所メールニュース
 
              2005年9月号

**********************************

           地域ブランドの保護

 沖縄の皆さんこんにちは。弁理士の鶴目朋之と申します。
これから、このメールニュースのトピック欄をたびたび担当することになり
ますので、よろしくお願い致します。
さて、いきなり私事で恐縮ですが、私は小野国際特許事務所では唯一の文系
弁理士です。ですから、取り上げるトピックも、商標や著作権などの比較的
皆さんにとって身近なものを取り上げていきたいと思います。
そこで、第1回目のテーマは、現在、法改正も絡んでホットな話題の「地域
ブランドの保護」です。

 「地域ブランド」とはそもそも何でしょうか?まず、現行の商標法では、
例えば「地域名」と「普通名称」とを組み合わせた商標は識別力がない、す
なわち、商品の出所を表示する機能を有していないとして、登録を認めてい
ません。ただし、「夕張メロン」のように、長年の使用の結果、全国的に周
知となった場合にのみ、商標としての識別力が生じているとして登録を認め
ています(商標法第3条2項)。
ところが、この「全国的に周知」という要件をクリアすることは並大抵のこ
とではなく、この商標法第3条2項の適用を受けて登録となった地域ブラン
ド商標は数えるほどしかないのが現状です。一方、近年、地域の事業者が統
一したブランドを用いる、いわゆる「地域ブランド化」の動きが盛んになっ
ており、かかる地域ブランドの、商標制度による適切な保護のニーズが高ま
っていました。そうした流れを受けて商標法の改正が議論されることになっ
たのです。それでは、改正案は現行の制度とどのあたりが変わっているので
しょうか。まず、対象となる商標は「地域名」+「商品(役務:サービス)」
からなる文字商標です。そしてその商標が一定の周知性を有していること。
ここで、「一定の周知性」の程度が問題になりますが、全国的な周知は必要
でなく、隣接都道府県に及ぶ程度の範囲が検討されています。また、地域名
と商品との密接な関連性。その地域名が付いていることで登録を認めるので
すから、好き勝手な地名を付けていいというわけではない、という当たり前
の話です。
次に、登録の主体の要件ですが、これはまず、加入自由が法的に担保されて
いる、法人格を有する団体であることが必要です。具体的には、事業協同組
合、農業協同組合などの団体です。特定の事業者にのみ、地域ブランドの使
用を認めることは適当ではないからです。以上が、大まかな登録の要件にな
りますが、実際の運用においては、商標の周知性の認定や、団体の適格性の
判断など、非常に難しい問題があるのではないかと思われます。
 この法改正案は、地方の協同組合等からは支持を受けている一方で、産業
界、特に食品業界からは慎重論、もしくは反対する意見が多く聞かれます。
すなわち、地方の団体とっては、地域ブランドの保護により模倣品対策が強
化され、ブランド化による地域イメージの向上、さらには地域経済の発展に
もつながるので、歓迎すべきことですが、逆に一般企業とっては、地域ブラ
ンドの過剰な保護はアウトサイダーの排除につながり、地域名の正当な使用
にまで影響が及びかねないとして、危機感を抱かせるものだからです※。
 このように、実際の運用に至るまではまだまだ越えなければいけないハー
ドルがあるものの、今回の法改正の流れは変わりませんから、皆さんもこの
新たな制度をいかに利用して、地域活性化につなげるかを真剣に考えるとき
ではないでしょうか。とりわけ、最近、「沖縄ブランド」という言葉も聞く
ほど「沖縄」はブームとなっていますが、これを一過性のものとせずに、真
のブランドとして定着させるためにも、これをきっかけに、「地域ブランド
の保護」に関心をもっていただければと思います。
                               
                          弁理士 鶴目朋之

※このあたりの意見の対立や、産業構造審議会側の見解は特許庁HP「産業構
造審議会知的財産政策部会商標制度小委員会報告書『地域ブランドの保護につ
いて』(案)に寄せられた御意見について」に詳しいですので、興味のある方は
ご覧になって下さい。

このトピックに関する、ご意見・ご質問等を受け付けております。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 今月の滞在予定 9月 26日(月)〜 30日(金) 弁理士 小野 信夫

 ※弁理士が沖縄オフィスにいない場合でも、テレビ電話にて東京オフィスの
  弁理士と相談することが可能です。

 相談したい日にちと時間、会社名、担当者名、連絡先を記入の上、下記の
 アドレスまで送信して頂くか、直接沖縄オフィスまでご連絡を下さい。
 なお、メールにてご連絡を頂いた場合には、メールチェックの都合上、
 翌日の返事となることがあります。

 相談予約メールアドレス:okinawa@ono-pat.co.jp    

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

  今後、このメールニュースの配信をご不要の方は下記のアドレスまで
  返信して下さい。
 

  teishi@ono-pat.co.jp ※停止は翌月号より反映されます。

**********************************
    
   最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
 これからも小野国際特許事務所沖縄オフィスを宜しくお願い致します!

  小野国際特許事務所 沖縄オフィス

   〒904-2234 沖縄県うるま市字州崎5番地1トロピカルテクノセンター302号室
   TEL:098-938-0990  URL:http://www.ono-pat.co.jp 
   FAX:098-938-0980  E-mail:okinawa@ono-pat.co.jp

 このメールニュースに関する著作権は小野国際特許事務所に帰属します。

**********************************

このページのトップへ