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2007年07月号(知的財産権と独占禁止法)
2007/07/15

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           特許業務法人
           小野国際特許事務所メールニュース
               2007年7月号

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              知的財産権と独占禁止法

 独占禁止法(以下、「独禁法」といいます)が、知財との関わり合いで問題になった
ケースとして、北海道新聞社事件という事例があります。これは、函館新聞という地方紙が
創刊されることを察知した北海道新聞社が、その新規参入を阻止するために、「函館新聞」
を含む9つの商標登録出願を特許庁に対していったというものです(うち5つは取り下げ)。
その結果、特許庁は同出願について、「地方紙の題字として採択される可能性が高い商標を
集中的に、しかも自ら使用することが極めて低いにもかかわらず出願し」「この出願により、
函館地方の新聞創刊の途を狭くしたことを目的といわざるを得ない」ため、
「公正な競業秩序を乱す」として、公序良俗を害するおそれがある商標に該当するとの理由
で拒絶しました。そもそも、商標権をはじめとする知的財産権は独占排他的な権利です。
自分がこの商標を登録すれば、他人は勝手に同じ商標が使用できないというものです。
そして、他社に特定の名称等を使用させないことを目的として、本当は自分で使用する
つもりのない商標を出願することは、知財戦略としてはありえます。そして、特許庁がそれを
審査段階で拒絶することは一般的には困難です(法律的に、出願した商標が使用できないことが
明らかな場合は別です)。
それでは、なぜ本件の場合、拒絶されたのでしょうか。その理由はいくつか考えられますが、
まず、出願以外にも、北海道新聞社により行われた一連の妨害行為があったということです。
それらをいちいちここで列記しませんが、商標登録出願はそれらの行為の一環として行われた
という背景がありました。そして、公正取引委員会は、商標登録出願を含むそれらの行為に対し、
函館地区における新聞の発行分野での競争を実質的に制限しており、独禁法第2条第5項に規定
する私的独占に該当するとの認定を行いました。
ここで、注目すべきは、公取委のかかる判断に先立って、特許庁がすでに拒絶査定を行っていた
という事実です。特許庁の拒絶査定により、公取委も安心して北海道新聞社に対して排除勧告を
出したということもいわれています。
 特許庁の一審査官が、このような査定を行ったことに対し、弁理士の間でも賛否両論ですが、
商標法のそもそもの立法主旨に、競業秩序を維持する目的が含まれていることを考えれば、判断の
内容そのものは間違っているとは思いません(判断を下す権限があるかという問題はさておき)。
 この事案から分かることは、知的財産権は独占に基づく財産権で、独禁法は私的独占を禁止して
いるので、一見すると互いに相反する性質のようですが、その目的に関しては、産業の発達、
需要者の利益保護、国民経済の民主的で健全な発達、という同じ方向を向いているということです。


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8月の滞在予定 7月30日(月)〜8月 3日(金)弁理士 井手 浩
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