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特許業務法人
小野国際特許事務所メールニュース
2010年11月号
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特許出願の記載要件(1)
特許出願するのに当たって、明細書などの書類が必要であるということはほとんどの
人が知っているとおもいますが、どのように書いたら有利かということまでを知っている人は少ないのではないかと思います。
特許法では、発明が単に新しいこと(新規性)や、容易に思いつくものでないこと(進歩性) だけでなく、所定の条件に従って記載されていること、すなわち記載要件を
満たす ことが要求されます。この記載要件を満足しない出願は、発明に新規性、進歩性があっ ても、拒絶されてしまうので、記載要件の理解は出願に関与する人に極めて重要です。
このメルマガにおいて、何回かに分けて、この記載要件を説明したいと思います。
まず、記載要件の一つは、「サポート要件」といわれるもので、特許を取ろうとする発明(特許請求の範囲の発明)は、明細書に裏付けがあるものでなければならないとす
るものです(特許法36条6項1号)。
これは、特許制度の原則から導かれるもので、特許の範囲は、他の技術者が明細書の開示からみて、妥当なものと認識する範囲でなければならず、明細書を書く時よりも、
研究着手時や研究中に考慮すべきことです。
例えばサポート要件は、化学の発明であれば、いくつかの実験例から見て、特許請求の範囲に書かれた発明のように、一般化(あるいは上位概念化)することが不自然でな
いかどうかで判断されますし、装置・機械の関係では、図面や明細書で表示された装置や機械のいくつかの態様から見て、特許請求の範囲で一般化した発明が不自然ではない
かどうかで判断されます。
従って、逆に実施例が一つしかなかったり、装置・機械の態様が一つしかないのに特許請求の範囲をやたらに広げてみても、発明の裏付けがないとして結局拒絶の対象にな
ることになります。
これに対し、出願時の実施例等が一つであっても後で補正をすればよいのではと考える方もおられるかもしれませんが、現在の審査では、新規事項を追加する補正は禁止さ
れており、実質的に発明のサポートとなる実験例や、図面の追加は困難です。
この「サポート要件」を満足させつつ、広い範囲の権利を得るには、十分な数の試験例や変形例を示す図面を提出することのほか、例えば、少ない実験結果からでも広い範
囲の発明が十分に導き出せることを理論的に説明する方法もあります。
いずれにしろ、このサポート要件を考慮しつつ研究を進めないと、実際に行った実験内容だけに発明が矮小化されるおそれがあるので注意が必要です。
このトピックに関してご質問等がございましたら、弊所小野までお問い合わせ下さい。
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12月の行事:12月09日(木)13:00〜16:00 発明無料相談会
場所:発明協会沖縄県支部
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12月の滞在予定12月 6日(月)〜 12月10日(金) 弁理士 小野 信夫
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