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特許業務法人
小野国際特許事務所メールニュース
2011年 2月号
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シーサー商標事件(パロディTシャツ)
スポーツ用品メーカーのPUMA商標のパロディと思われる、シーサー商標について、昨年話題になった判決がありました(※1)。
事件の経緯は以下の通りです。
1.シーサー商標登録に対してプーマ社が異議申立し、特許庁は両商標を類似と認め、シーサー商標の取消決定
2.シーサー商標権者は知財高裁に取消訴訟提起、知財高裁は両商標を類似しないと判断し、特許庁の取消決定を取消して審理差し戻し
4.特許庁は、出所の混同、著名商標と類似する商標の不正目的を持った使用、という理由で再度取消
5. シーサー商標権者は再度、取消訴訟提起し、知財高裁は再び特許庁の取消決定を取り消す判決(その結果、シーサー商標の登録は維持)
知財高裁は、両商標が非類似のため、不正目的は無かったと判断しました。また、実際にシーサー商標の付された商品をプーマ社製と思って買うことや、シーサーTシャツの製造・販売元とプーマ社との間に何らかの関係があると思う人も少ないと思われますから、広い意味での出所の混同も認められませんでした。
しかし本事案のポイントは、知財高裁がシーサー商標をPUMA商標のパロディと認めなかったことにあると思われます。自分は、このシーサー商標はPUMA商標を元にして作られたパロディ商標であることは明らかと思うのですが、皆さんはいかがでしょうか。もし、裁判官が最初からシーサー商標はパロディ商標との認識を持っていれば、あるいは結論も変わっていたかもしれません。
ところで、今回の判決の結果、シーサー商標の登録維持が認められていますが、このことは必ずしもパロディ商標が商標法により保護されることを保証するものではありませんので、その点は注意が必要です(そもそも今回はパロディ性が否定されている。)
例えば、特許庁は、ウマをモチーフにしたPUMAのパロディ商標「UUMA」について、プーマ社商標に化体した信用・名声及び顧客吸引力に便乗し、不当な利益を得る等の目的のもとに、引用商標(PUMA商標)の有する特徴を模倣して出願し、登録を受けようとしたものであり、かかる行為によって、引用商標自体に化体した信用・名声及び顧客吸引力を希釈化させ、あるいは損なうおそれがある、と判断しています。
その結果、上記事案とは異なり、「商標法の精神に反し、商取引の秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当し、商道徳に反し、社会公共の利益に反する」との理由で登録を拒絶しています。
今後は、特許庁もこのようないわゆる公序良俗違反としてパロディ商標の出願に対処するケースも増えてくると思われますが、それに対する知財高裁の判断が注目されるところです。
※1 裁判所HP判決全文 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100713112245.pdf
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