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特許業務法人
小野国際特許事務所メールニュース
2011年9月号
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切り餅特許侵害事件について
四角い形状をした切り餅のパックがスーパーなどで販売されています。このような切り餅の特許について業界大手の企業間で争いとなり、A社が自社の特許権を侵害したとしてB社に対し、製品の製造販売の差し止め等を求めていました。
A社の特許発明は、切り餅の側面に切り込みを入れることが特徴であり、これにより、焼いた時に側面が膨らんで上下の面が持ち上がり、食べやすく美味しそうな外観になるというものです。B社の製品にも側面に切り込みが入れられていましたので、通常であれば、当然にA
社の特許権を侵害していることになりそうです。しかし、B社の製品には、側面だけでなく、上面や底面にも切り込みが入れられていました。そして、A社の特許明細書には、上面や底面にも切り込みを入れることに対して否定的な記載があったため、B社の製品がA社の特許発
明の範囲に含まれるかどうかが争点となりました。つまり、特許発明の範囲は、特許請求の範囲の記載(クレーム)に基づいて定められますが、A社のクレームには、簡単な言葉で表すと、「底面や上面ではなく側面に切り込みを設ける」旨記載されており、また発明の詳細な説
明において、底面や上面に切り込みを設けると外観が非常に損なわれる旨記載されていたので、A社の特許発明の範囲からは、底面や上面に切り込みを入れたものは排除されていると解釈することもできます。
この点について、原審の東京地裁は、上記A社特許のクレームの記載等から、特許発明の範囲は、上面や底面には切り込みを設けず、側面のみに切り込みを設けたものに限られると解釈し、B社の製品はこれに含まれないと判断しました。一方、知財高裁は、上面や底面に切り
込みを入れたものを排除しているとは解釈できないとして特許権侵害を認めました(平成23年(ネ)第10002号)。
このように、クレームや発明の詳細な説明において、特定の構成を否定したり、意識的に除外したような記載があると、特許発明の範囲の解釈に影響を及ぼす可能性がありますので、明細書の作成にあたっては注意が必要であり、特に断定的な記載は避けた方がよい場合が多い
と思われます。
このトピックに関してご質問等がございましたら、弊所井手までお問い合わせ下さい。
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10月の行事:10月13日(木)10:00〜16:00 発明無料相談会
場所:発明協会沖縄県支部
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10月の滞在予定10月11日(火)〜10月14日(金) 弁理士 小野 信夫
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