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特許業務法人
小野国際特許事務所メールニュース
2012年12月号
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実際にあった商標事件から学ぶ
今回の「実際にあった」シリーズは、最近ニュースなどでも取り上げられたアップルの中国での商標権譲渡問題についてです。
事案:アップル社は、商品ipadの発表に先立ち、イギリスのダミー会社A社を使って台湾のB社から中国で登録されているipadに関する商標権を譲り受ける契約を交わした。しかし、実際の中国の商標権者はB社ではなく、B社の関連会社である中国法人のC社であったため、中国における商標権譲渡は認められず、アップル社はC社の商標権侵害を理由にipadの販売を中止。その後、アップル社が和解金約48億円を払うことで解決。
検討:上記の事実のみを読むと、こんな単純なミスが起こるのかちょっと信じられない気もします。しかし、実際はもう少し複雑で、当初の権利者側の交渉担当者は中国C社の社員で、中国C社のメールアドレスを使用してイギリスA社とメールをやり取りし、B社とC社を含むグループの人間であるような口ぶりで交渉していたようです(アップルの主張)。ところが、この担当者は英語が得意なため関連会社(B社)の連絡を手伝っただけ(C社の主張)ということです。
アップル社は、交渉担当者がB社とC社を含むグループを代表して商標権譲渡契約に関与していたと信じさせる理由があると主張しましたが、実際の契約はA社と台湾B社との間で成立しているため、中国C社にはその効力は及ばないと判断されました。
本件は最終的に和解で決着しましたが、判決までいったとしてもアップルの勝算は低かったと予想されます。
さて、今回はA社と台湾B社との契約でしたが、もし権原を有さない者が商標権者であるC社の交渉の代理権を有していると称して、A社と中国C社の間の契約を交わしたらどうなるでしょうか?
その場合、代理権を有しているという外観を信じた相手方を保護するために「表見代理」が認められる可能性があります。
「表見代理」が認められると、無権代理人が交わしたA社とC社間の契約についてC社が責任を負う必要があります。
しかし、今回のケースでは、交渉担当者は商標権者C社の代理のように振る舞っていたとしても、実際の契約当事者は台湾B社であったため、表見代理は認められる余地はありませんでした。
今回の事案では、アップルは新商品の発表に先立ち世界中で商標権譲渡の交渉を進める必要があり、その手続も画一的になっていたのかもしれません。しかしながら、小さな事務的ミスでも生じた結果は重大であり、やはり、権利譲渡交渉の際には、権利の有効性のみならず権利の帰属についても再度しっかり確認することが重要であると認識させる事件でした。
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