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外国編
PCT出願について
PCT出願(国際出願ともいう)とは、日本語で記載したひとつの出願書類を特許庁に提出することにより、その日にすべてのPCT加盟国に出願したことと同じ効果が得られるという出願です。
PCT出願を行うと、外国で行う手続は、最初の出願の日から30ヶ月まで繰り延べされ、その間に、外国出願の必要性を検討することができます。
しかし、上の30ヶ月の期間は何も手続が行なわれないのではなく、出願発明の先行技術が調査され(国際調査)、その結果は国際調査報告として出願人に知らされます。この報告には、発明の進歩性、新規性などについて審査官の見解も示されます。
そして、審査官の意見に同意できない場合は、国際予備審査という手続を行い、答弁書の提出や、手続補正を行うことができます。
このように、PCT出願は、出願後12ヶ月で手続を行う従来の出願方法に比べ、外国に手続をする時期を送らせることができ、また予め特許性の判断ができますので、料金的は高目ですが、有利な出願方法といえます。
PCT非加盟国への出願について
PCT未加盟の国(台湾、タイ、アルゼンチン等)については、それぞれの国の特許庁に新規の特許出願として書類を提出することが必要です。最初の出願の日から12ヶ月以内であれば、パリ条約または日本との二国間条約に基づき優先権を主張することができます。優先権を主張しない場合は、最初の出願の公開前まで、すなわち最初の出願の日から18ヶ月以内であればほとんどの国で出願手続きが可能です。ただし、研究発表会、刊行物、電気通信回線等を通じて公となった研究については、6ヶ月を過ぎると新規性の喪失とみなされ、出願が行えない国がほとんどですので注意が必要です。
また、出願手続きの際には、明細書をその国の言語に翻訳することが必要です。日本語の明細書により出願手続きを行った後に翻訳文を提出することが可能な国もありますが、通常は日本語の明細書を一度英訳し、英語からその国の言語に翻訳することが好ましいため、上記の出願期限と併せて翻訳にかかる時間を考慮することが大切です。